世界母乳週間に

「母乳」という言葉に、どんな印象を持ちますか?

今の世の中、「母乳」のことは、語るのが難しいです。

何故かと言えば、母乳育児は、多くの人が「良い」ものと捉えていて

それなのに、うまく行かないことが多くて、

そのギャップで苦しむ人がたくさんいるからです。

 

なぜうまく行かないのでしょうか?

 

母乳がスムーズに出るようになるための初めの一歩を進めるには、

誤った情報や、今までの人生で自然に見てきたものによるアンコンシャスバイアスが邪魔をします。

赤ちゃんと一緒にいて何度も飲ませていれば自然に母乳は出るはずなのですが、

ストレスや不安が、その邪魔をすることもあります。

病院も、いろんな事情があって、ずいぶん減ってしまいました。

丁寧に教えてもらい励ましてもらうにも余裕がない所も多くなりました。

 

ようやく母乳が出るようになれば、本当ならこれからが楽ができるところ。

なのですが、家から一歩出ると、授乳する場所に困ります。

赤ちゃんが泣いてもがまんしたり、授乳室で泣く子をあやしつつ並ばなくてはならなかったり。

結果として、乳腺炎を起こしてしまったりと、トラブルも起きます。

お腹が空いた赤ちゃんを泣かせて待たせるのは、子どもも可哀想だし、周りの目も気になり、

もう二度と子連れで外に出たくない、と思ってしまいます。

 

そして赤ちゃんが少し大きくなると、今度は周りから「まだやめないの?」というプレッシャー。

本当はまだ続けていたいのに、続けた方が楽ができるのに、

卒乳・断乳する方も、特に保育園入園前には多くいらっしゃいます。

本当なら、その時期は、母と赤ちゃんが決めることなのに、周りの声や雰囲気の影響は大きすぎます。

 

結果として、母乳につらかったというイメージを持つ人もいます。

たいへんというイメージも持つ人が多いです。

その負のスパイラルが、母乳で育てたいという母親たちにもプレッシャーやストレスを与えます。

 

 

今はこんな仕事をしている私ですが、

二人目の子どもを産んでモーハウスを始めるまでは、母乳のことは全然わかっていませんでした。

 

一人目、二人目は、御多分に漏れず、母乳のことで苦労しました。

でも、その多くは環境に左右されていたこと、

それから知識があればその環境を変えることができたこともわかりました。

 

そこで三人目の子を産むときは、「うまく行かないための要素」を全部取り除きました。

知識を持ち、気持ちに余裕を持ち、病院にお願いして環境を変えてもらったおかげで、

全く苦労知らずで(順調すぎてキツかった後陣痛=子宮の復旧痛を除いては)

母乳育児を楽しみ、母乳のおかげで子連れで動きやすく、いろんな活動をすることもできました。

 

は、私は、母乳育児は楽しいし面白いし、楽をするためのツールだと、強く思っています。

そんな姿を皆に見てもらいたいと思って、授乳服を作って、授乳している姿を見てもらって、

子連れで働いています。

スタッフたちは母乳での苦労もトラブルもなく、母乳のおかげ!とばかり、旅行にも軽やかに出かけます。

 

やはり人の体は、よくできています。

それを邪魔しているのは何なのでしょうか。

たぶん、100年前に母乳で苦労する人は今より全然少なかったはずです。

 

今の世の中が悪いのでしょうか?

すぐに変えられることも、時間がかかることもあります。

それに対して、社会ができることも、周りができることも、自分ができることもあります。

 

以前、私が取材いただいた時に付けていただいたタイトル、とても気に入っています。

「周囲ではなく、自分が変わる」。

 

出来ることからやっていきたい、という気持ちで、今の活動をしています。

8月1日~8日は世界母乳週間。

下記、翻訳をされた本郷寛子さんがご紹介されていて、とても共感したので、ご紹介します。

 


【女性の権利を守らない母乳育児推進は役立たない】

皆の健康を増進しようという団体(公衆衛生の関連団体)はどこでも
「母乳は母と子の健康を守るので、母乳をあげることは推奨される」という命題に異論はありません。
でも、女性たちがいたるところで困難に直面するという状況で、女性に母乳で育てることを推奨することがなんの役に立つというのでしょうか?

単純に「母乳は最良」だというメッセージは、少なくとも何の役にも立たないし、悪くすれば重大な害を及ぼしかねません。

女性に対して「ぜひ母乳で育てましょう」と言ったからって、
女性たちが母乳で育てられるわけではないからです。
母乳で育てることは「特に変わったことではない」かもしれないけれど、
ママだけではなく、赤ちゃんと一緒に学んでいく必要があるものです。
スキルのあるエキスパートから支援を受けることでその学びは促進されます。

「母乳で育てることは大切だ」とママたちに信じ込ませておいて、
うまくいくように環境を整えないのは、非人間的と言えます。
とても多くの女性たちが最初は母乳で育てたいと思っているのに、
もっと続けたかったのにやめざるを得ない状況に追い込まれています。
女性たちは何も悪くはないのに、罪悪感、失敗感、そして怒りといった
いたたまれない感情の波に見舞われています。

この公衆衛生の課題に対して、私たちは今までと違ったアプローチをする必要があります。
つまり、ただ単純に母乳育児を推進するのではなく、温かくケアし保護する文化を創造する必要があるのです。

でも、そうした「サポート」はどんなものなのでしょうか。
母乳で育てるようにという圧力がいたるところにあると言う人もいるかもしれません。
でも、少し俯瞰してみると、毎日女性たちは、
さりげなく、あるいははっきりと、母乳ではなく哺乳びんでの授乳が「ふつう」であるというメッセージを受け取っています。
どこかの時点で乳児用ミルクを使っているママのほとんどが、
乳児用ミルクの宣伝を見聞きし、
母乳育児の困難の解決策として乳児用ミルクを使うことがふつうだとされています。
私たちは、実際には、乳児用ミルクを使うのが当たり前の文化に住んでいるといえます。

保健医療サービスの場で、ママたちの母乳がうまくいくように情報提供や支援が産後の出発点からされていなくて、困難にあっても支援を受けられなかったとしたら、ママが母乳で育てたいと望むことが何のトクになるでしょうか。

家族や友人が「ミルク」をあげるように何度もママを説き伏せようとしていたら、それも、赤ちゃんの「ふつうによくある」行動を「直す」ために「ミルクをあげたら」と何度も言われるなら、どうでしょう。そうした赤ちゃんのふつうの行動は哺乳びんによって「直す」ことなんてできないというのに。
外出中に授乳しようとしても周囲の人から冷たい視線を浴びせられたら、どうでしょう。
職場復帰をしなくてはならなくて、雇用主が授乳や搾乳のための配慮をまったくしてくれなかったとしたら、どうでしょう。
この人生の過渡期にあって、ママが大事にされ配慮されるのではなく、あれこれといろいろなことを言われ続け、元と同じような生活をするように要求されたら、どうでしょう。

私たちが母乳で育てることを推奨したいのなら、母乳で育てやすい環境を作り出す必要があります。
母乳育児を「個人の母親の問題」として考えるのではなく、母乳で育てやすいようにどうしたら社会や経済や法律を変えるかについて考える必要があります。
つまり、ターゲットは、家族、一般の人々、雇用主、大きな規模の力を持つ政治家の、知識・態度・行動だということを意味します。
母乳で育てることは、母親だけの責任ではありません。社会の問題であり、公衆衛生の責任であり、私たちはそれを認識し、行動を伴って(母乳で育てたい女性がそれをかなえる環境を作るために)投資をするべきなのです。

Dr Amy Brown 著、本郷寛子暫定訳

 
A guest post from Dr Amy Brown about creating an environment where breastfeeding can flourish.

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